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判例 58
コンビニの店舗内で顧客が転倒受傷した事故の責任は誰にあるか
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報2210号より)
平成25年11月29日 名古屋地裁平24(ワ)3761号 コンビニの店舗内で顧客が転倒受傷した事故につき、コンビニの経営者に過失がないとして、顧客のコンビニ経営者に対する損害賠償請求が棄却された事例
この判例から学ぶ
1.フランチャイズ店舗内で顧客が転倒受傷するケースはときどき発生する。本件は折からの降雪時にコンビニ店舗内で顧客が転倒受傷した事故で、顧客がフランチャイジーとフランチャイザーの両方に対して、共同不法行為に基づく損害賠償を請求したケースである。
2.顧客は自動車で来店したが、降雪(午後7時までに10cmの積雪)により店内の床が濡れていたため転倒、左肩と後頭部を打ったほか、左上腕骨折の傷害を負ったのは、店舗経営者が店内の床を乾いた状態に保持すべき注意義務を怠ったために発生したためであると主張し、店舗経営者に対しては固有の不法行為、本部に対しては使用者責任の連帯損害賠償を求めたのが本件の事案である。
3.これに対して裁判所は顧客の請求を棄却した。その理由は次の通りである。
4.店舗と駐車用スペースとの間には、庇のあるタイル様のもので舗装された歩行スペース(犬走り)が設けられ、出入り口付近にレジカウンターがあり、内部の床面はPタイルで敷きつめられており、店舗の出入口前に中マットが1枚、店外にも出入り口前に束子(たわし)状の外マットが置かれていた。
5.そして、顧客が事故当時履いていた草履の左右いずれかの底に水を含んだ半透明状の雪がべったりと付着していたことで、顧客の転倒事故の原因は出入口のマットで草履の底面に付着した雪を十分に払わなかったことにあり、店舗経営者としては来店者がそれぞれ靴底の状態に応じて外マット及び内マットで付着した雪を払うものと信頼してマットを設置したものであるから、それ以上に特別のマットを設置する等の措置を講じるまでの注意義務はなく、本件転倒事故につき不法行為上の責任はないと判示した。
6.裁判所は、フランチャイズ本部の加盟店に対する指導に関連して、フランチャイズ本部のマニュアルについても触れている。床面がPタイルの場合の清掃の仕方については、特に「床が濡れていると滑りやすく危険なため、モップで水気を拭取ります。(雨天時などはこまめに実施します。)」と定められていることを原文表記のママ紹介し、当日は店長が駐車場の雪かきを行ったり、当時3名いた従業員へ転倒防止のため常に床面を拭いておくように指示、10分も間隔を開けないタイミングで出入口付近のモップ掛けをしていた供述の根幹部に疑問を抱くべき事情は証拠上認められない、と店舗の作業内容を確認しており、本部の加盟店に対する指導にも問題はなかったと判断している。
7.最後に、裁判所は次のように述べている。雪の日に草履を履いて外出するというのは軽率といわざるを得ないし、店舗側は二つのマットを用意すれば足り、顧客は靴底の状態に応じて拭うものと信頼し、それ以上に特別なマットを用意するなどの措置を講ずるまでの注意義務を負うべきものでないというべきである。軽率な来店者が多いからといって、コンビニエンスストアー等の店舗が、顧客のそれらの軽率な行動を予見して、万全の措置を講じる注意義務を一方的に負うというのは、軽率な来店者が転倒事故のリスクを何らの負担もなしに店舗側に転嫁できるということにほかならず、衡平にかなうところではないからである。
8.本件事案の類似先例として、判例時報は次の3つを紹介している。コンビニ店舗内での転倒事故につき、フランチャイザーの損害賠償責任を認めたもの(大阪高判平13・7・31本誌1764・64)、ショッピングセンターのアイスクリーム売場での転倒事故につき、運営会社の損害賠償責任を認めたもの(岡山地裁平25・3・14本誌2196・99)があり、またスーパーマーケット店舗内での転倒事故につき、経営会社の損害賠償責任を否定したもの(名古屋地岡崎支判平22・12・22本誌2113・119)。
資料出所;判例時報社発行の判例時報2210号
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