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判例 56
 フランチャイズ契約締結前の自営の教室再開は競業避止義務違反か
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報2209号より)
平成25年5月17日民16部判決、一部却下、一部棄却(確定) 営業差止等請求事件、東京地裁平24(ワ)9826号 将来のロイヤリティ相当額の計算が困難であり、その額をあらかじめ一般的に明確に認定することはできないとして、その損害賠償金の支払いを求める請求に係る訴えが却下された事例

ロボットに関連した教室の運営を目的とするフランチャイズ契約を締結するにあたって、被告が同契約締結以前にロボットに関連する別の教室を運営していたことを考慮して交渉が進められており、当該教室と被告がフランチャイズ契約締結後に運営を始めたロボットに関する教室とが異なる内容のものであるとは認められないなどの事情の下では、前記フランチャイズ契約締結後にロボットに関する教室の運営を始めたことをもって、被告は競合避止義務違反があるとはいえないとされた事例

被告がフランチャイズ契約を締結する以前にロボットに関連する教室を運営していたほか、被告が同契約後に運営を始めたロボットに関連する教室では同契約により原告から引き渡された教材が使用されていなっかったなどの事情の下では、被告がロボットに関連する教室を始めたことをもって、被告に競業避止義務違反があるとはいえないとされた事例
この判例から学ぶ
1.原告(X)はフランチャイザーで、学習塾の運営、語学教室その他各種教室の運営及びフランチャイズ事業等を営む株式会社である。被告(Y)はフランチャイジーで、ホビーロボット等の企画、製造及び輸出入等を行う株式会社である。本件はフランチャイズ契約解約後のYの競業避止義務違反をめぐるトラブルである。
2.Xが営むフランチャイズ事業の内容は、愛知県及び三重県において、幼児及び小学生を対象とし、自動車、船舶その他の乗り物や、人又は動物を模した模型であって、モーターを動力源とするものの工作を主たる内容とする教室の運営である。
3.Yは平成21年6月21日、名古屋市中区大須に「ROBOBASE大須店」という店舗を開設し、「キッズ工作教室」及び「キッズロボット教室」というロボットに関連した教室の運営をはじめた。その後平成21年7月24日に、YはXとこの店舗店内に設置した教室を加盟教室とするフランチャイズ契約(大須教室)を締結し、平成21年8月22日から「ヒューマンキッズ講座」大須教室と呼ばれるロボットに関連した講座を開設した。
4.その後平成22年5月6日にYはさらに、三重県桑名市所在の自社の本社内に、Xとの間で上記3と同じフランチャイズ契約を締結し「ヒューマンキッズ講座」桑名教室を開設した。
5.本フランチャイズ契約のロイヤリティは、Yが生徒から受領する入会金の50%及び会費(授業料)の35%である。ただし仮資格中(生徒数が20名に満たない場合)は、前者は同じ50%、後者は40%である。
6.本フランチャイズ契約の競業避止義務の内容は、1.契約終了後1年間は、幼児・小学生を対象として新規に理科(ロボットを含むがこれに限らない)に関する教室の経営、出資、従事等をしてはならない。2、Xの教育システムを利用してXの教育システムと同一又は同種若しくは類似する事業を自己又は第3者の利益を図る目的で行ってはならない、とするものであった。
7.その後平成23年5月31日に、Yは自社店舗の「ROBOBASE大須店」を閉店させ、同時にフランチャイズ契約で開設した「ヒューマンキッズ講座」大須教室及び桑名教室も閉鎖した。但しフランチャイズ契約が合意解除されたかどうかについては、XとYとの間にズレがある。そしてYは同年6月1日名古屋市内に「ROBOBASE名古屋店」を開設してロボットに関連した講座を開き、又同日以降、Yの本社及び三重県四日市においてもロボットに関連した講座「ロボベースラボ」を開設した。
8.以上のような経過の中で、XはYの「ロボベースラボ」の開設運営は競業避止義務に違反するとしてYに事業の差し止めを求めるとともに、平成23年6月1日以降のロイヤリティ相当額の損害賠償金の支払いを求めたのが本件のあらましである。
9.これに対して裁判所は、Yは競業避止義務に違反していないと判断した。その理由は、1.YがXとフランチャイズ契約を締結する以前から、既に幼児及び小学生を対象とする「キッズ工作教室」及び「キッズ・ロボット教室」を運営していたことをXは知ってフランチャイズ契約を締結しており、2.これらの教室は、フランチャイズ契約解約後にYが始めた「ロボベースラボ」とは異なるという証拠もなく、3.さらにフランチャイズ契約解除後に始めたYの教室「ロボベースラボ」では、Xが開発したノウハウ・教材をYは使用していない、というのが判断理由である。
10.損害賠償請求については裁判所は、ロイヤリティはYの運営する教室に在籍する生徒数に応じて算定されるから、Yが本件各契約に基づくロボットに関する教室の運営を止めた以上、生徒数を元にロイヤリティ相当額を算定することはできず、その額をあらかじめ一義的に明確に認定することはできないとし、よって将来にわたりロイヤリティ相当額の損害賠償の支払いを求める権利は、将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格性を有しておらず、損害賠償金の支払いを求める請求に係るXの訴えを却下した。この面について、判例時報は民事訴訟法135条(将来の給付を求める訴えはあらかじめその請求をする必要がある場合に限り、提起することができる)とこれに関連したいくつかの判例を紹介し、実務上参考になるだろうとコメントしている。
11フランチャイズの加盟店を開発する際には、自営又は他のチェーン加盟の同業者を勧誘する場合もある、本件もこのケースである。加盟店になろうとする者にとっては、フランチャイズチェーンの名称やブランド名、独自のノウハウなどが大きな魅力になる。本件では、Yの本来の事業内容、Y(フランチャイジー)がX(本部のフランチャイズ)のどこにメリットや魅力を感じたのか、本部のチェーン展開のブランド力や名称の知名度はどの程度であったか、XとYのフランチャイズ契約に関する合意解除の認識のズレが生じた背景など、いろいろ考えると本判例から学ぶ点は多い。ロイヤリティ算定の仕組みについては、売上高基準、粗利益高基準、定額方式、店舗規模(坪数等)基準、これらの組み合わせ方式等さまざまであるが、その仕組みはできるだけシンプルであることが望ましい。
資料出所;判例時報社発行の「判例時報の2209号
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