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判例 52
店長の管理監督者該当性を争った裁判で、店長がうつ病になったのは本部の中間管理職の対応の仕方にも問題があったからだとされたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報2136号より)
平成23年5月31日民1部判決、一部認容、一部棄却(確定) 未払賃金等請求事件、東京地裁立川支部平20(ワ)1102号 コンビニ型店舗の店長が管理監督者とは認められないないとして使用者に時間外、休日労働に対する割増賃金及び労基法114条に基づく付加金の支払が命じられた事例
この判例から学ぶ
1.コンビニ型店舗をチェーン展開する被告Yの店舗で勤務していた原告Xが、@店長としての扱いを受けた時期についての未払いの割増賃金及び休日割増賃金の支払い、A同未払割増賃金に係る労基法114条に基づく付加金の支払並びに、BYから長時間・過重労働を強いられたことによりうつ病を発症したとして、Yに対して、債務不履行(安全配慮義務違反)又は不法行為による慰謝料の支払いを求めたが、Yは、Xは店長で管理監督者であるとしてこれを否認、争ったのが本件事案である。
2.XのY社での職歴は次の通りである。平成10年に高校を卒業した後、アルバイト経験等を経て、平成18年9月4日に正社員になり、平成19年6月1日に店長となったが、同年10月1日に一般社員に戻り、同月9日から休職している。この間にうつ病を発症、店長としての勤務期間は4か月であった。
3.裁判所は、Yの店長として稼働していたXの職務内容、責任、権限、勤務態様及び賃金等の待遇の実態を詳細に認定し、店舗内での人事権や運営に関し、終始エリアマネージャー等の判断が必要であったことなど、Xは労基法41条2号の管理監督者には該当しないと判断した。そして、同法37条の割増賃金支払の対象者であるとし、時間外割増賃金及び休日割増賃金の合計額として44万8376円の支払いをYに命じた。
4.さらに裁判所は、割増賃金を支払っていなかった期間が4か月と短く、被告において、殊更時間外手当の支給を免れるために労働者を店長職に就任させるなどの運用がされていたわけではないこと、店長に対しては役割給が支給されていたこと、被告が労基法に違反していたと認識していたとは認め難いことなどの事情を考慮したとしても、労基法114条に基づき、時間外手当の約5割に相当する20万円の付加金の支給を命ずるのが相当であるとした。
5.原告のうつ病と業務との間の因果関係については、裁判所は詳細な事実認定の上、原告には精神疾患の既往症はなく、他に業務以外の本件発症の要因はないことから、両者の間には相当因果関係が認められるとし、民法415条により、Yに慰謝料100万円の支払義務があるとした。
6.裁判所は、被告が店長に対する特別な健康配慮を行わなかったことを重視、店長の直属上司である中間管理職のエリアマネージャーの対応の仕方にも問題があったと判断し、次のように述べている。
「原告から平成19年8月には労働時間が長いことや休みがとれないことなどを聞き、また同年9月には医師からうつ病の診断を受けた旨及び店長職を辞したい旨を聞かされたのであるから、原告において業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が相当程度に蓄積しているのではないかとの疑いを抱いてしかるべきであった。ところが、被告は、原告が勤務していた当時、健康診断は年に一度実施するほかは、特別な健康配慮を行っていたとの事情はうかがわれないばかりか、エリアマネージャーが原告から上記の話を聞いた際にも、その状況把握に努めて対策を検討した上、例えば休暇の取得を強く勧奨するなどの指導や、持続的に原告の負担を軽減させるための措置をとるでもなく、かえって人件費率やM/H()等で人件費を抑えるよう注意したり、また店長を辞めて通常の社員になったとしても、それだけで業務が直ちに減るわけではないことを説明したりするなど、逆により一層の長時間労働をせざるを得ないとの心理的強制を原告に与え、原告の申出に真摯に対応したとは思われない姿勢に終始したことは先に認定したとおりである」
 ;店舗の規模・売上に応じて定められた人件費の上限を管理する手法
複数の店長を援助し、指導育成する立場にあるチェーンストアーの中間管理職にとっては、上記に紹介した裁判所の判示は実務の上で注意すべき点であろう。
7.判例時報は、本判決は管理監督者該当性に関する判断事例のひとつに加えられると共に、同法114条に基づく付加金の支払いについて判断した事例であり、実務遂行上参考になる裁判例である、とコメントを付している(判例時報2136号129ページ)。
資料出所;判例時報社発行の「判例時報の2136号
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