フランチャイズ情報提供サイト

フランチャイズ情報提供サイト
 ←トップページへ戻る
←判例研究索引へ戻る
判例 50
コンビニエンス・ストアの本部が加盟店に対して料金収納代行サービスや深夜営業を求める行為は優越的地位の濫用には当たらないとされたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報2148号より)
平成23年12月22日民8部判決、棄却(控訴) 手数料収受行為強要差止等請求事件、東京地裁平21(ワ)29786号 コンビニエンス・ストアのフランチャイザーが加盟店に対して公共料金収納代行サービス等に係る業務及び深夜営業を行うことを求める行為が、独占禁止法上の優越的地位の濫用に当たらないとされた事例
この判例から学ぶ
1.原告(X)は、大手のフランチャイズ本部(被告Y)とフランチャイズ契約を締結した9人からなる加盟店である。XらはYから公共料金等の収納代行サービスやメール便の取次ぎサービス等(本件対象サービス)に係る業務(本件対象業務)、並びに午後11時から翌日午前7時までの深夜営業を強要されており、これは独占禁止法2条9項5号ハ所定の優越的地位の濫用に該当し、同法19条に違反する旨主張して、Yに対し、同法24条に基づく差止め請求として、本件対象業務と深夜営業の強要禁止と、フランチャイズ契約の中の深夜営業を義務付ける条項の削除を求めたのが本件のあらましである。
2.裁判所は詳細な事実認定を踏まえ、次のとおり判示し、加盟店側の請求をいづれも棄却した。
(1)優越的地位の問題については、加盟店の店舗経営等の本部への依存度、加盟店の初期投資、契約終了時の加盟店の不利益、事業規模の格差等に照らせば、フランチャイズ契約等締結後における本部の取引上の地位は、加盟店に対して優越しているというべきである。 他方、契約締結までの段階で、本部の取引上の地位が加盟店に優越していたとは認めることはできない。
(2)本件対象サービス、本件対象業務については次のことがいえる。
@本部のフランチャイズ・チェーンの利便性にかかわるもので、イメージの重要な要素を構成する商品やサービスについては、契約上加盟店は提供する義務を負っており、合理性が認められる限度で随時変更されることもXらは了解していた。
AXらのうち、最も加盟時期の早い者の加盟時期である平成8年までには、本件イメージの重要な要素を構成するに至っていた。
BXらも、本部の加盟前の説明から、これを十分に認識し了解した上で契約を締結した。
C本件対象業務は、いづれもXらの加盟時に既に導入されていたものか、又は既に導入されていた業務と基本的に性質を同じくするものである。
D本件業務の平均的な手数料収入額、所要時間等に照らし、Xらの加盟店の負担がこれによって得られる利益に比して過重なものである、とまではいえない。
E我が国のコンビニエンス業界においては、本件対象サービスと同種の収納代行サービスは広く普及しており、これが提供されないとなると、Yのフランチャイズ・チェーンの利便性にかかわる本件イメージが損なわれることは避け難い。
以上にいよれば、YがXらに対して本件対象業務を行うことを求めることは、正常な商慣習に照らして不当にXらに対して不利益を与えるものではなく、優越的地位の濫用に当たるということはできない。
(3)深夜営業に関しては、深夜営業の業務が定められたフランチャイズ契約書を締結した上で加盟したのであるから、深夜営業を行う義務が明らかであるとし、加えて下記の点を判示した。
 @Xらのうちで最も加盟時期が早い平成8年には、既にYの加盟店は24時間営業の店舗であるという認識が一般に広まっており、Yが契約締結に先立って加盟希望者に交付した資料等にもこのことは明記されていた。
 A深夜の時間帯には、従業員の手待ち時間を利用して発注業務や清掃等の作業が行われることが多く、来客数の増加する早朝に合わせて早朝向け商品の発注、納品、陳列等も行われている。
 B深夜の強盗事件は、Yにおける発生率が他社よりも高いというような状況ではなく、Xらの契約締結時から現在までの間に、深夜営業を行うことについての重大な事情変更があったとはうかがわれない。
 CYについても、侵入防止扉の設置など、自ら保険料を負担して現金盗難被害保険に加入するなどの各種対策を講じている。
 D我が国のコンビニエンス・ストアー業界においては、24時間営業が広く普及しており、Yの加盟店で24時間営業が行われないという状況が生じたとなると、Yのフランチャイズ・チェーンの利便性にかかわる本件イメージが損なわれることは避け難い。
 以上によれば、Yがフランチャイズ契約の変更を拒み、深夜営業を行うことをXらに求めることは、正常な商慣習に照らして不当にXらに不利益を与えるものではなく、優越的地位の濫用に当たるということはできない。
3.フランチャイズ取引において本部の行為が、独占禁止法に抵触するかどうかの判断基準については、先に公正取引委員会が「フランチャイズシステムに関する独占禁止法上の考え方(フランチャイズガイドライン)」を公表しており、本判決もこのガイドラインに沿っていると見られ、裁判所は、フランチャイズ契約締結後においては、本部は加盟店に対して優越的地位にあるとしている。他方、フランチャイズ契約を締結するまでの段階においては、本部の取引上の地位が加盟店に優越していたとは認めることはできない、としている。実務上、良好な物件を確保すべく加盟交渉をしているときには、加盟希望者の方が取引優位に立っているという感がする。そして契約が成立し開業した後は、立場が逆転することは、これも裁判所が上記2.−(1)において判示する通りで、実務経験者にとってはよく理解できる。
4.フランチャイズ本部にとっては、将来に向かって自社のフランチャイズのブランドイメージを高め、フランチャイズパッケージのバージョンアップを続ける使命がある。これには新商品の開発、新メニューの導入、新しい製造様式や販売様式の導入、新しいサービスの実施などを伴うことが多い。反面、既存加盟店側にとってはこのことは、新規投資を必要とし、オペレーションが複雑化し、余計な労務費や経費が発生、自店の収益アップに結び付くかどうかという不安や懸念材料になる。よって本部は、加盟店に対して誠意を尽くし根気よく政策説明をし、理解を求めないと、加盟店の本部に対する潜在的不満やトラブルにつながる。これはフランチャイズが抱える宿命のようなもので、本部と加盟店間の信頼関係と双方のコミュニケーションの重要性が声高に叫ばれる理由は、ここにあると言っていいだろう。
資料出所;判例時報社発行の判例時報の2148号
←トップページへ戻る←判例研究索引へ戻る↑このページの先頭へ戻る