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判例 46
加盟店の被害者弁護団の代表弁護士の不法行為の成否が争われたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報2127号より)
平成23年5月13日民12部判決、棄却(控訴) 損害賠償請求事件、大阪地裁平22(ワ)1746号 フランチャイザーとフランチャイジーとの間の紛争が発生している状況において、原告となるフランチャイジーを勧誘した弁護士の文書の交付等につき名誉棄損が否定された事例
この判例から学ぶ
1.本件の原告は、学習塾を経営する本部である。被告は、学習塾のフランチャイズシステムに関する原告の説明内容が実績と大きく相違したことにより発生した加盟店の被害を救済すること等を目的とする被害者弁護団の代表をつとめる弁護士である。本部(原告)が問題にしたのは、弁護士(被告)が書面で本部を批判し、加盟店から本部を訴える者を募ったり、問い合わせがあった加盟店に別件訴訟の訴状の写しを交付したり、本部を批判する訴状を別件訴訟において陳述したりしたため、本部が、加盟店からのフランチャイズ契約解除通知やロイヤリティの不払いが発生したとし、さらに本部に対する名誉棄損もあるとし、弁護士の不法行為責任を追及したのが本件のあらましである。
2.学習塾本部と、被害者弁護団を結成した加盟店との紛争の内容については、典型的なフランチャイズ・トラブルなのでここではその詳細は省略し、被告(弁護士)の行為に関して、(1)ロイヤリティの支払いを受ける地位(契約上の地位)の侵害による不法行為と、(2).名誉棄損による不法行為、の成否についての裁判所の判断に焦点を絞って要点をまとめると、下記の通りである。
3.(1)についてみると、本件各加盟店がロイヤリティを支払うか否かは、あくまで本件各加盟店が自身の自由な意思決定に基づく個別判断によるものであることに照らせば、各加盟店は本部とのフランチャイズ契約の取引に不満があったとみるべきである。原告と各加盟店とのフランチャイズ契約は、一方的な解約を許容するものではないから、原告にフランチャイズ契約における債務不履行が存しない限り、本件各加盟店による上記解除通知は無効であって、原告の各加盟店に対するロイヤリティ支払い請求権は現在もなお存続するものというべきである。以上の通りであるから、原告にフランチャイズ契約における債務不履行が存する場合には、本件加盟店の自由な意思決定によるものといえるため、被告による本件各文書の送付と本件各加盟店の契約解除通知及びロイヤリティの不払いとの間に相当因果関係があると認めることはできず、また原告にフランチャイズ契約における債務不履行が存しない場合であっても、被告による本件各文書の送付によって、原告のロイヤリティの支払いを受ける地位が侵害されたと認めることはできない。したがって、本件各文書の送付について不法行為責任は成立しない。
4.(2)についてみると、訴訟提起勧誘文書や訴状の写しは、原告の社会的評価を低下させ、原告の名誉を棄損する恐れのある内容であるが、問い合わせてきた加盟店のみに送付したものであり、その他の不特定または多数人に対して送付したことを認めるに足りる証拠はない。被告が文書を送付する方法で訴訟を提起する加盟店を募った行為は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現するという弁護士としての職務として、又は被害者救済という信条に基づいて、広く全国の被害者を救済するために積極的に行われた側面があるということができ、事件との関連性は認められ、目的・手段ともに相当で、弁護士としての正当な業務の範囲を逸脱したものとはいえないのであるから、正当行為として違法性が阻脚されるというべきである。
5.フランチャイズ・トラブルにおいては、加盟店が本部の情報提供義務違反や債務不履行を追求する文書の内容や文言は、いきおい本部の社会的信用低下や名誉を棄損する内容になりやすい。本件でも裁判所はその可能性を認めている。この点、本判決について判例時報は「事件の依頼の勧誘につき妥当な方法かどうかの問題があり(弁護士職務基本規程10条参照)微妙な判断を示している(判例時報2127号64ページ)」とコメントしている。
6.さらに続けて、判例時報は次のようなコメントもつけている。「昨今、弁護士の業務競争が激化し、宣伝広告、依頼の勧誘等が多様化しているようであるが、訴訟として現実化し、裁判例として公表された事例は見出せない。本判決は、事件の依頼の動機につき前記内容の判断を示した珍しいものであり、事例の集積として参考になると考えられ、紹介するものである。また、弁護士の勧誘文書、訴状による名誉棄損につき判断した事例を蓄積するものとして参考になる(判例時報2127号64ページ)」とコメントしている。
資料出所;判例時報社発行の判例時報の2127号
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