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判例 42
本部の売上予測が情報提供義務違反であり、契約解除後に加盟店に競業避止義務を負わせることも許されないとされたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報2090号より)
平成22年5月12日民8部判決、本訴一部認容・一部棄却、反訴棄却(確定) 損害賠償請求本訴、損害賠償等請求反訴事件、大阪地裁平20(ワ)10207号・14748号 1.フランチャイズ契約締結勧誘時にフランチャイザーがフランチャイジーになろうとする者に対して示した売上予測が客観的な根拠や合理性に欠けるものであったとして、フランチャイザーの情報提供義務違反が認められた事例
2.フランチャイズ契約終了後にフランチャイザーがフランチャイズ契約上の競業禁止条項に基づきフランチャイジーに対して競業避止義務を負わせることが信義則に反し許されないとされた事例
この判例から学ぶ
1.洗車場フランチャイズ契約において、加盟店(本訴原告、反訴被告、以下原告とする)が損害を被ったとして、本部(本訴被告、反訴原告、以下被告とする)に損害の賠償を求めた(本訴請求)。これに対して本部は、契約終了後も加盟店が洗車場等の営業を継続していたことが,、競業避止義務違反にあたるとして営業の差止めを求めるとともに、加盟店の営業継続により被った損害の賠償を求めた(反訴請求)のが本件のあらましである。売上予測乖離をめぐるトラブルは別段珍しくはないが、ここでは契約解除後も加盟店の類似の営業継続が認容されているのでここで紹介したい。
2.裁判所が、本部の売上予測が客観的な根拠や合理性に欠けるとした主な点は、本件店舗の顧客は、店舗から半径2km以内の客が7割、半径3km以内が8割を占め、商圏が売上査定に極めて重要な役割を占めるところ、立地診断評価表、ランク一覧表、シミュレーションなどにおいて、商圏評価が全評価点200点中32点(16%)しか割り当てられておらず、商圏の点数が極めて低くとも、店舗構造や動線およびアプローチ等の点数が高ければ、全体としてのランクが高くなり、立地診断評価表上のランクと実際の売上が大きく乖離するという不合理な結果になる、とした点にある。
3.被告の情報提供義務違反により加盟店が被った損害賠償の内容は、エリアーエントリーフィー、ブース(カーケアサービス用の場所)工事費を損害と認め、土地仲介手数料、建物工事費、備品代は営業を継続しているので除外された。営業損失については、経営者に通常要求される経営努力ないしは営業努力を尽くしたと認めることはできなく、被告の情報提供義務違反と因果関係が薄いとして損害として認められなかった。そして原告は、ガソリンスタンドを5店経営しており、被告から提供を受けた情報の内容を検討、吟味することが、ある程度可能な知識と経験を有していたことが認められるとして、裁判所は7割の過失相殺を行なっている。
4.他にフランチャイズ裁判における特徴的な争点、被告は指導援助をおこなわなかった、被告は元々フランチャイズシステムのノウハウを持っていなかった、という原告の主張は、裁判所は弁論の全趣旨に基づき理由がないとして棄却している。
5.本部の反訴請求、つまりフランチャイズ契約解除後の加盟店の競業避止義務違反により、本部は損害を被ったとする損害賠償請求は、棄却された。その理由は次の通りである。競業避止義務条項そのものについては、公序良俗に反するものではないが、加盟店は多額の投資をおこない、ほぼ毎月営業損失を出し、建物や設備を他の土地へ移設するには多額の費用を要するなど、営業を禁止される加盟店が被る不利益は極めて大きく、一方、本部は本件商圏を維持しなければ重大な不利益を受けるとは言い難く、加盟店に多額の投資をさせたのは情報提供義務違反による勧誘行為が契機になっており、加盟店に競業避止義務を負わせて加盟店の投資回収を困難にすることは信義則に反して許されなというべきである、というのが理由である。
6.本件フランチャイズは、店舗を経営するのに適した設備を排他的、優先的に確保することができる権利を付与するエリアエントリ契約を先に締結し、約3ケ月後にフランチャイズ契約を締結している。このことは、立地の具体的選定と意思決定に何らかの影響を与えなかったのだろうか。
7.フランチャイズ契約に関して、判例時報の次のコメントは参考になるだろう。「なお、本件では原告は、反訴請求に対する抗弁の一つとして情報提供義務違反を理由とするフランチャイズ契約の解除を主張していた。(中略)本判決は、信義則違反を理由に反訴請求棄却という結論を導いており、解除の有効性については判断していない。」「契約の効力を否定する理論構成としては、多くは錯誤や詐欺の要件を緩和する方向で議論されており、情報提供義務違反を理由とする解除を正面から認める論考はあまり見られない」(判例時報2090号51〜52ページのコメントより引用)。
資料出所;判例時報社発行の判例時報の2090号
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