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判例 33
コンビニエンスストアへの販売において販売代理店のメーカーへの返品が認められたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報2013号より)
平成20年5月14日民15部判決、認容(確定) 売買代金返還等請求事件、東京地裁平18(ワ)10285号 コンビニエンスストアにおける販売を予定したメーカーと販売代理店との間の商品の継続的売買におけるメーカーの返品を受け容れる義務に関する特約が公序良俗に違反せず有効であるとし、販売代理店の返品に係る商品代金の請求が認容された事例
この判例から学ぶ
1.「本件は、コンビニ販売商品に係る販売代理店とメーカー間の取引における返品に関する特約の効力が争われた珍しい事例として、実務上参考になろう」と判例時報2013号はコメントしており、販売先がフランチャイズの加盟店でありフランチャイズ特有の商流と物流が関係しているので、ここで取り上げた。
2.商品は、栄養機能食品(サプリメント)で、本商品のメーカー(被告)と継続的な独占販売代理店契約を結んだ販売代理店(原告)が、本契約の返品条項に従い、返品代金の請求をメーカーへ求めたものである。物流は、メーカー → 販売代理店 → コンビニが取引する問屋(センターやベンダー) → コンビニ加盟店となっているが、これに商流としてフランチャイズ本部(バイヤー)が関与している。本件では契約時の販売先は関東地区でコンビニ大手1社のみである。
3.メーカーと販売代理店間の商品の受発注は、その都度個別契約によって行われ、返品については未販売品や期限切れ品、問屋などの取引先からの返品等の余剰が販売代理店(原告)において生じた場合、最終的にメーカー(被告)が余剰品を引き受けるという返品条項が付いており、余剰品の発生の責任がメーカーと販売代理店のどちら側にあるかを巡って争われたのが本件事案である。
4.原告と被告の主張と反論を斟酌し、裁判所は争点を次の5つに絞り込んでいる。
(1)原告(販売代理店)は、被告(メーカー)に対して過剰な発注を行わなかったか?
(2)原告は当該商品の販売努力を行ったか?
(3)原告は販売促進活動を行ったか?
(4)被告は、買主(コンビニ大手本部)は販売努力を尽くさなかったので本件返品条項の適用はない、と主張するが?
(5)被告は、本件返品条項は公序良俗に反するもので民法90条により無効である、と主張するが?
5.以上の点について裁判所は次のように判断し、本件返品条項は公序良俗に違反せず有効で、原告の返品に係る商品代金(保管料を含む)の請求を認容した。
(1)については、関東地区のコンビニ店舗の一店当たりの仕入れ数量、センターからの追加注文に備えて原告自身が在庫すべき数量、被告への発注単位などを考慮して発注しており過剰な発注とまでは言えない。また被告は、原告がコンビニ各店舗と直接交渉して仕入れの意向を確認すべきであったと主張するが、この主張はフランチャイズ事業におけるコンビニ取引の実情と大きく乖離するもので取り上げることはできない。
(2)については、原告は被告に対して本件商品のPR活動実施案を提案し、各種の雑誌や新聞に本件商品の紹介記事等が掲載されるよう手配したこと、さらに代理店契約にはない他のコンビニ本部に対しても売り込みを図った事実があり、本件代理店契約の趣旨に照らして相当というべき販売努力をしたものと認められる。
(3)については、被告が契約上販売促進活動を行う義務を負っており原告にはそれがない。本件諸商品がPR活動の不十分により販売低迷に陥ったとすれば、被告自身が消費者への認知活動を怠ったとみるべきである。
(4)については、買主(コンビニ本部)はフランチャイズ契約上、加盟店へ品揃えする商品や種類、仕入れ先などを指示・命令することはなく、単に推奨するにとどめているので、被告の主張は失当である。
(5)については、被告が無効とする根拠は、独占禁止法2条9項「不公正な取引方法」と告示(大規模小売業者が、自己又はその加盟者が納入業者から購入した商品の全部又は一部を当該納入業者に対して返品をすることを禁止する)に触れるので、本件返品条項は無効(民法90条公序良俗違反)であると主張するが、原告は小売業者でないことは明らかであるので、これも被告の主張は失当である。
6.以上の原告の返品を相当と容認した裁判所の根拠は、裁判所が被告がフランチャイズの仕組み(ハイリスク・ハイリターンの取引形態と裁判所は述べている)を理解していないことを指摘していることも含め、充分理解できるであろう。
7.本件の事案は、コンビニフランチャイズの例であるが、コンビニに限らず加盟店への商品・物品供給の難しさは、どのようなフランチャイズ分野においても変わらない。新しい商品の導入においては、本部は頭出しとして、各加盟店へ自動回送することはできるが、2回目以降は加盟店の責任と裁量により注文を受けることになる。この場合、加盟店の返品は許されない代わりに、度重なる欠品は商流を担当する本部の加盟店に対する荒利益補償につながりかねない。従って、物流を担当するベンダーにとってはどうしても多目の在庫を抱えがちになるのは止むを得ないであろう。判例時報のコメントの通り実務上参考になる判例である。
資料出所;判例時報社発行の判例時報の2013号
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