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判例 32
本部が一方的に事業を中止した場合、加盟店は支払った権利金のうち、残存期間に見合う分の返還を求めることができるとされたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報1522号より)
平成5年11月30日民5部判決、一部認容、一部棄却(確定) 損害賠償請求事件、浦和地裁平4(ワ)657号 フランチャイズ契約及び商品販売委託契約において、本部が一方的に事業を中止した場合、加盟店は支払った権利金のうち、残存期間に見合う分の返還を求めることができるとされた事例
この判例から学ぶ
1.本部が事業を一方的に中断した場合には、加盟店が支払った加盟金は返還されるのかどうかといったトラブルも多く、本件の事案は参考になるであろう。
2.本部(被告)は、レンタルビデオショップのフランチャイズと浄水器の販売事業を営む企業である。加盟店(原告)は、前者についてはフランチャイズ契約を、後者については業務委託契約の両方を同時期に契約したが、いづれも予想した収益が上がらず約半年で営業を中止してしまった。そこで、加盟店はこうなったのは、本部が必ず収益が上がるがごとき説明をして契約させ、また適切な広告宣伝をしなかったためであるとして、(1)不法行為と(2)債務不履行を理由として、本部に対して損害賠償請求を提起した。さらに、契約期間内に本部が事業を中止してしまったとして、加盟店は(3)差し入れた権利金のうち、残存期間に見合う分を不当利得として返還することを求めたのが本件のあらましである。
3.レンタルビデオショップのフランチャイズ契約については、加盟金50万円で権利金は420万円、他に営業車両2台250万円とビデオテープ105万円、浄水器の業務委託契約については、保証金200万円で権利金は3、000万円である。後者については、資本金1、500万円で販社と称する株式会社も設立している。契約期間は前者は5年、後者は3年で、いづれも約半年で営業を中止している。
4.上記2.の(1)と(2)に対する裁判所の判決は、必ず利益が上がることを保証したり、詐欺と目し得るような欺罔(ぎもう、あざむき、だますこと)行為はあったと認めるに足る証拠はなく、また本部の経営指導や宣伝広告が不十分ないし不相当であると認められないとしてこれを棄却した。
5.ところが、上記2.の(3)については、権利金の回収については契約期間内に営業利益による回収が予定されているので、本部が一方的に事業を中止することで加盟店の営業が継続できなくなったときには、残存期間に見合った分は不当利益として返還すべきであるとし、レンタルビデオのフランチャイズ契約の権利金420万円のうち3年分の252万円、浄水器の業務委託契約の権利金3,000万円のうち1年分1、000万円をそれぞれ加盟店へ返還すべきとした。この場合、契約書に謳われている「権利金はいかなる場合にも返還しない」旨の条項は、本部側の一方的な事業中止の場合は含まれないとみるのが相当である、としている点は注目すべきであろう。
6.フランチャイズ契約で問題になるのは、本部が契約時に徴収する一時金(イニシャルフィー)の性格である。本件の事案では、契約上では加盟店が支払った権利金はテリトリー料と読み取れる。裁判所は、これを次のように解釈している。「権利金の性格は、特段の事情がない限り取り扱う商品またはサービスの一定地域における独占的営業権の付与、サービスマーク・商号・商標等の使用許諾、統一的方法での経営指導・援助・宣伝・広告等に対する対価またはこれらサービスに対するロイヤリティの先払いというところにあると認められる」。このように広く解釈するならば、本部の一方的な事業停止は、明らかに権利金の返還請求の対象事由になるだろう。
7.本部が「加盟に際し徴収する金銭」(中小小売商業振興法の開示事項の一つ)の名称と種類と支払いの対価はさまざまである。本件では権利金となっているが、一般的には加盟金と称される場合が多い。これは商標・サービスマーク等の使用、契約時に開示するノウハウ、テリトリー付与、商圏・立地調査、店舗の内外装の設計デザイン、開店時のトレーニングや指導員の派遣、オープニングの広告宣伝などにまつわる対価とされる。本件の事案のように保証金を徴収する場合も多く見かけられるが、これは加盟店の債務を担保する性格を持ち区別される。そして、開業後継続的に徴収されるものはロイヤリティと称されるが、本件の裁判所が判断するように、加盟金はロイヤリティの先払い的性格を有しているとも見られることもあり、加盟金が一過性のものか、契約期間中に及ぶものかの議論は絶えずついてまわる。
8.権利金や加盟金のようなイニシャルフィーは、本部が長年にわたりノウハウを開発するのに費やした費用を回収する手立てでもあり、本部の大きな収益源である事実は否めない。そしてそれが何の対価であるかは、本来フランチャイズ・パッケージの内容に関連して決められるべきものであろう。この点を本部は、加盟店に対して明確に説明できるようにしておくべきだ。
資料出所;判例時報社発行の判例時報の1522号
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