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判例 30
コンビニ本部は、加盟店が推奨仕入先から仕入れた代金の内容を、加盟店へ報告すべき義務があるとした最高裁の判決
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報2028号より)
平成20年7月4日二小法廷判決、破棄差戻、裁判集民事228号登載 1審東京地裁平17(ワ)19021号、平19・1・12判決、2審東京高裁平19(ネ)877号、平19・5・31判決 書類引渡等、請求書引渡等請求事件 最高裁平19(受)1401号 コンビニエンス・ストアーのフランチャイズ・チェーンの運営者が、加盟店に代わって支払った商品仕入代金の具体的な支払内容について、加盟店に報告すべき義務を負うとされた事例
この判例から学ぶ
1.物販(小売)業フランチャイズにおいては、商品の仕入れ先については、独占禁止法の関係で本部が推奨する(指定するとはいえない)仕入先(ベンダー)から仕入れるのが一般的である。この場合の代金決済は、オープンアカウント制の仕組みの中で行われるケースが多い。その典型例が、ここでとり上げるコンビニ・フランチャイズの場合である。この場合、本部は加盟店(複数)に代わって支払った商品仕入れ代金の内容を、加盟店に報告する義務がないとした原審の判断は誤りである、と最高裁はこれを破棄した上で、本部が義務を負う報告の具体的内容について更に審理を尽くさせるために、差し戻したのが本件の概略である。
2.第1審と2審(原審)の判決は次の通りである。
(1)本部と加盟店との間の本件基本契約(フランチャイズ契約)では、本部は報告義務を負わない。
(2)この基本契約は、両者の権利義務関係を包括的に定めるもので、その一部を取り出して、受任者の報告義務を定める民法645条の規定を適用することは相当でない。
(3)基本契約には、本件報告に係る明文の定めはない。
以上により、本部は報告の義務はないとした。
3.これに対して、加盟店の請求を受理した上で上記の原審を破棄した最高裁の判断は次の通りである。
(1)商品の仕入れについては、加盟店経営の根幹をなすもので、加盟店がその内容を知ろうとするのは当然である。
(2)本部は集約された情報の範囲で報告することは、大きな困難は伴わない。
(3)加盟店の本部に対する仕入れ代金の支払いに関する事務の委託は、民法の規定する準委任(民法656条 法律行為でない事務の委託)と比較して、本部にとっては不利な点もあるが、利益もあることなどから、報告について本件基本契約に何らの定めがないからといって委託者である加盟店から請求があった場合に、民法の規定する受任者の報告義務が認められない理由はなく、本件基本契約の合理的解釈としては、本部は報告する義務を免れない。
上記の判断により、報告の具体的内容について更に審理を尽くさせるために、最高裁は本件を原審に差し戻した。
4.加盟店が本部から仕入れる商品代金とその内容をめぐるトラブルは、日本のフランチャイズ・ビジネス誕生の時点から存在し、フランチャイズの根源的な仕組みに関係するトラブルといえる。これは単にコンビニ業界に限らず、食材等の購入が伴う外食業や中食業にも関連する問題である。
5.加盟店が仕入れる商品、原材料、食材、消耗品などには、本部の自社工場品、本部企画(規格)の外注品、本部が仲介する単なる買い入れ品などがあるが、その原価、仕入れ業者からの値引額、回送差益、時には差益に包含されるロイヤリティ相当額、加盟店への配送に要する物流費などは、妥当な金額かどうかは加盟店にとっては関心は高い。
6.フランチャイズ・システムにおいて加盟店が本部から商品などを仕入れる場合、本部の新商品開発力、他社商品に対する競争力、季節商品などの変動価格の平準化、本部が構築した受発注システムや会計システム、多品種・小ロット・多頻度回送のサプライチェーン・システムなどの面で、加盟店が受けるメリットは大きく、これは本部から支払い代金の内容の報告がない、あるいはその内容を知りえないというデメリットと表裏一体の関係にある。
7.最高裁が、報告の具体的内容について更に審理を尽くさせるように原審に差し戻したのは、本部に支払い代金報告義務があるとしても、本件に内在する問題は大きく、容易に決着が着く問題ではないと考えてのことだと私は推測する。本部が不当(この定義も難しい)な回送差益を得るのは論外だが、どうしても加盟店が仕入れの実態を詳細に把握したいと考えるなら、フランチャイズに加盟することから得られる上記に挙げたメリットを断念し、自ら商流と物流の両方を取り仕切って事業を行うしかないであろう。
資料出所;判例時報社発行の「判例時報の2028号
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