フランチャイズ情報提供サイト

フランチャイズ情報提供サイト
 ←トップページへ戻る
←判例研究索引へ戻る
判例 27
リースバック方式による店舗の賃貸借契約の中途解約は可能か
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報1994号より)
1審平成17年12月21日
2審平成19年7月24日
損害賠償請求控訴事件、1審福岡地裁平15(ワ)156号
2審福岡高裁平18(ネ)56号、民3部判決、一部変更、一部控訴棄却(上告・上告受理申立て<上告棄却・不受理>)
原告が被告のために店舗用建物を建築して賃貸(いわゆる「建て貸し」)中に被告が相当の理由があって中途解約をし、これが認められる場合に、原告が被告に対して中途解約によって被る損害の補填金額が算定された事例
この判例から学ぶ
1.判例にある「建て貸し方式」とは、地主に借り手の仕様デザインで店舗建物を建ててもらって、それを土地と共に借り受ける長期の賃貸借契約の方式である。リースバック方式、オーナーリースバック方式、借地借家方式、オーダーリース方式などと呼ばれている。これは、ロードサイド店舗の開発によく利用され、地主は借り手が差し入れた敷金・建設協力金などを元手に店舗建物本体を建設、内装などは借り手が負担する方式である。
2.被告は、九州一円に100店舗近いうどん屋チェーン店を展開する企業で、原告(地主)はその所有する土地の上に被告チェーン店仕様の店舗建物を建築し、被告との間で賃貸借契約を締結、被告の店舗は平成7年7月開店している。
3.ところが、平成7年10月頃地盤沈下で店舗の中央部分に落ち込みが見られるようになり、施工した被告指定の業者が非を認め、その費用で修繕をおこなった。その後、平成14年2月になって被告は建物がゆがんで営業できないとして休業・閉店した。
4.そこで被告(うどん屋チェーン)は原告(地主)に対して、修理を要求したが聞き入れられず、両当事者は交渉を重ねたがまとまらず、被告は平成14年8月で賃貸借契約を解除する旨の通告をした。原告は、被告の解除は無効とし、賃料不払いを理由として賃貸借契約を解除し、主位的に契約期間(15年間)満了までの賃料等の損害賠償と、予備的に中途解約の場合の違約金の支払いを求めた。
5.一審判決は、建物が飲食店としての使用に耐えられなかったということはないから、被告が契約を解除することはできないとする一方、契約の特約上の解約としての効力は認められるから契約はこれにより終了したとして、原告の契約解除に基づく損害賠償請求(主位的請求)を棄却した。しかし、中途解約による場合、原告は特約条項上の違約金請求権を取得するとして、これに基づく予備的請求の一部を認容した。これに対して双方とも控訴した。
6.これに対する控訴審の判決は次の通りである。契約書上の条項からして明らかに一審原告(地主)に建物の修繕義務があり、その違反があるものの、営業の継続が困難な状態にあったとまでは言えないので、一審被告による解除は許されないが、中途解約規定も存在し相当の理由がある場合、つまり店舗床面の落ち込みや、原告が修繕に応じなかったなどの理由があるので、一方的な解約も許されるとした。この場合建て貸し契約であるので、中途契約されたときに発生する契約期間満了までの得べかりし賃料の喪失となる地主側の損害は、補填することで賃貸人の利益は保護するのが相当であるとした。そして予備的請求(中途解約の場合の違約金の支払い)は棄却された。
7.原告(地主)が受けた損害賠償額の算定においては、建て貸し契約であるので、解約時の本件建物の償却残高から敷金を控除した額を請求できるとして、その額の算定が行われている。償却残高の計算においては、建築主体工事(地盤改良費を含む)、電気設備・給排水・空調工事、外構工事の別に省令で定められた年数で定額法が採用されている。定率法は、資本を早く回収するための方法であるので、本件の場合のように、より貸主の損害を填補し得る方法としては、相当でないとした。
9.さらに損害賠償額の算定においては、原告(地主)が修繕義務を怠ったことで3割の過失相殺をおこなった。原告は被告が退店した後、そのままの仕様で他の飲食店に転貸した事実を、修繕する必要がなかったことの理由の一つに挙げているが、他店の場合の賃料は低かったことを考慮すると、修繕をする必要はなかったとする理由にはならないと裁判所は判断している。そして被告側においても、店舗の閉鎖には、多分に営業政策的な理由(赤字経営)に基づくものではないかとみる余地もあるとしている点は見落とせない。
10.リースバック方式については、建築範囲の線引き、費用負担の区分、瑕疵への対応や修繕費区分、ランニングコスト負担、中途解約、解約違約金などをめぐってトラブルが発生しやすい。本件は、中途解約が認められ損害の補填がなされたケースである。得べかりし賃料の計算方法についても簡単に触れておいた。算定においては、過失相殺が行われておりこれも実務上参考になるだろう。
資料出所;判例時報社発行の「判例時報の1994号
←トップページへ戻る←判例研究索引へ戻る↑このページの先頭へ戻る