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判例 26
類似した店舗名が不正競争行為に当たらないとされたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報1854号より)
平成16年3月5日民47部判決、棄却(確定) 商号使用差止等請求事件、東京地裁平15(ワ)19002号 1.営業の普通名称に店舗等の所在地の地名を付した営業表示は、特定人がそれを長年にわたり使用し続けることにより、需要者において当該特定人の営業を表示するものとして広く認識されるに至っているなど特段の事情がない限り、これを普通に用いられる方法で使用する行為は、不正競争防止法12条1項1号の趣旨に照らし、同法2条1項1号所定の不正競争行為に当たらない
2.東京都世田谷区成城において開設された調剤薬局の営業表示「成城調剤薬局」の使用がドラッグチェーンの営業表示「セイジョー」と類似せず、不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争行為に当たらないとされた事例
この判例から学ぶ
1.チェーンストアーにおいては、統一した店舗名や営業表示は店舗展開上重要な役割を持っている。従って、他社との店舗名の類似は、意図しなくとも不正競争行為とみなされトラブルにつながりやすい。
2.不正競争防止法2条1項1号は、周知の営業表示を保護する規定で、類似する営業表示を使用することで他人の営業と混同を生じさせる行為を不正競争行為と規定している。
3.しかし同法12条1項1号では、慣用されている営業表示を普通に用いられる方法で使用する行為については、2条1項1号の適用を除外するという規定を設け、営業表示が独占されることを防ぎ、商品・サービスの流通を円滑・自由にしようとする趣旨が盛り込まれている。
4.原告は、「セイジョウー」という店舗名で関東・東海一円に180店舗(平成16年1月)のドラッグチェーンを展開している企業である。被告は、東京都世田谷区成城に「成城調剤薬局」を開設している。本件は、原告が被告表示の使用の差止め及び抹消を請求したものの棄却された事案である。
5.営業表示使用の開始時期については、原告は昭和26年に東京都世田谷区成城町(当時の名称)に「成城薬局」を開設、昭和44年に商号を「セイジョー」に変更して営業表示として使用し、ドラッグチェーンの拡大展開をおこなっている。被告が成城に「成城調剤薬局」名で調剤薬局を開設したのは、平成15年4月である。原告は被告店舗がある成城地域においては3店舗を有しており、被告の店舗との距離は70mから200m以内である。
6.昭和44年以来長きにわたり宣伝を行い、店舗網を拡大し、ブランドの確立・周知をおこなった原告としては、後発の被告の店舗が近く、顧客側の混同、処方箋FAX宛先の間違い、商品の誤配送、製薬企業のMR(Medical Representative 医薬情報提供者)の誤った来訪などの迷惑を受けていることが、被告表示の使用の差止め及び抹消を請求するに至った理由である。
7.このような背景の中で、裁判所が両者の営業表示の類似性を否定した理由を要約すると次の通りである。
(1)被告表示の「成城」は、所在地の地名であり、「調剤薬局」は営業を示す普通名称である。これを組み合わせることは経験則上頻繁におこなわれ、特定人の独占にはなじまないので、特段の事情がない限りその使用は自由であるといえる。
(2)一方はカタカナ表記でかつ「セイジョー」と発音を伸ばし、他方は漢字表記で、「調剤薬局」が加わる。
(3)原告の営業は、医薬品や化粧品、日用品等を幅広く販売しているドラッグストアーであるが、被告の営業の大部分は、近接する医院(小児科・アレルギー科)からの処方箋にもとづく調剤である。
(4)被告の営業表示は、店舗名の看板、店舗入口等に普通に用いられる方法、すなわち一般取引上普通に行われる態様で使用されていることが認められる。
以上のように、両営業表示の外観、呼称、又は観念に基づく印象、記憶、連想等から類似のものと受け取られるおそれがあるということはできない、と裁判所は判断した。
8.チェーンストアーの展開は、ドミナント戦略をとり地域密着型である。従って、ここで紹介したようなケースは実務上よく発生する。この問題は、チェーン展開上は避けて通ることはできないので、注意を促すと共に、裁判所が示した類似性の判断方法も参考になるので取り上げておいた。
資料出所;判例時報社発行の「判例時報の1854号
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