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判例 24
売上・収益予測の大幅未達など本部の加盟店に対する信義則上の保護義務違反に基づき加盟金相当額について損害賠償請求が認められたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報1987号より)
平18・12・8民一部判決 損害賠償請求事件、さいたま地裁平16(ワ)827号、一部認容、一部棄却(控訴) 自動車運転代行業のフランチャイズ契約に関し、フランチャイザーのフランチャイジーに対する信義則上の保護義務違反に基づく加盟金相当額についての損害賠償請求が認められた事例(過失相殺四割)
この判例から学ぶ
1.原告は9人の自動車運転代行業のフランチャイ加盟店オーナーである。売上・収益予測に関して虚偽又は不正確な説明を受けたことで契約を締結した結果、損害を被ったとして、本部に損害賠償請求を行いこれが認められたケースである。
2.売上・収益予測未達による損害賠償請求のケースは多く、決して珍しくはない。だが本件は、本部の加盟店開発にもややツメが甘い点があり、契約期間は3年なのに、9人の原告らはわずか2ヶ月から8ヶ月の間に契約を解除しており、判決では四割の過失相殺が行われた。この間の経過の中で、本部と加盟店の間で起こりやすいトラブルのほとんど全てが争点になっているのでここで取り上げた。
3.本部作成の売上・収益予測については、過去の実績に基づくものであることが要求されるが、そのような実績を挙げた店舗もフランチャイズ事業中心になってからはなく、新規加盟店が増える一方で、同数の加盟店が脱退しており、実績の悪い加盟店の店名の開示を拒み、加盟店へ提示説明した「月間モデル収支」(パネルで説明)自体も正確性及び合理性の乏しいものであった。
4.開業後に加盟店が負担する経費に関する本部の説明にも正確性及び合理性に欠けていた。ロイヤリティ、広告宣伝分担金、保険料、燃料費、電話料金、人件費、伝票・領収書などの消耗品代、車の検査維持費用、3年に一度のフランチャイズ契約の更新料(20万円)、車の買換費用など、売上規模に見合うものではなく収益性に疑問があった。
5.開業初期費用についても、加盟金、車両購入費、保険料等の諸経費で275万円でよいとされていたものが、実際は他にナビゲーション代、名刺代、無線機・行灯・走行距離メーター・領収書発行機の3年分の賃借料、制服代、料金表代、伝票領収書代などの初期費用が掛かり、これらを合算すると352万円を要するものであった。これらの内容は、原告はフランチャイズ契約の正式契約時に知ったようであるが、資金調達に無理があるなら、事業開始以前に契約を断念し、加盟金を返却してもらう道もあったのではないか、と判決は述べている。
6.本部の加盟店に対する営業活動支援の有無についても争われているが、本部は飲食店へのPR活動、顧客の紹介など実際に行っており、この点については、裁判所は本部の説明が虚偽又は不正確であったとはいえないとしている。
7.以上、原告(加盟店)らの損害については、裁判所は次のように判断した。
(1)加盟金;被告の説明義務違反によって、フランチャイズ契約を締結したことに基づいて発生した損害と認められる。
(2)車両購入費;通常の自動車としての財産価値を有するものであると認められるから、損害とはいえない。
(3)諸経費(保険料);一定期間運転代行業務に従事して、相応の売上を得ているので損害と認められない。
(4)慰謝料;財産的損害に対する賠償によって相当程度慰謝されるので、これは認めることはできない。
8.本件の原告らはいづれも自営業や会社勤務の経験がある。そこで四割の過失相殺がおこなわれている。加盟希望者には、大変参考になるので相殺の理由を次に記しておきたい。
(1)フランチャイズ契約の締結に当たっては、加盟店は単に本部が提供する情報を受動的に受け取り、それに全面的に依拠して契約の是非を判断するだけでなく、本部が提供した情報の正確性や合理性を吟味し、必要であれば、本部に対し、さらなる説明や情報の提供を求め、あるいは自ら調査し、情報を収集するなどして、自己が営もうとする事業の採算性、収益性、将来性などを慎重に検討すべき責任があった。
(2)開業当初には、安定的な経営状態に達する時点の売上高や利益額に及ばないことも当然予想されるので、十分な備えをしておくべきで、わずか2ヶ月から8ヶ月の後にフランチャイズ契約を解除していることは、経営努力が足りなかったが故に売上・収益を挙げることができなっかった、と言われても仕方ない。
以上が主な相殺の理由であるが当然と思われる。
9.フランチャイズ事業において最も難しいのは、顧客の開拓である。特に本件のようなサービス業においては、一定期間わずかしか売上が望めないこともある。本部の開発担当者は、この点をよく説明して運転資金を用意させておくものだが、本部の店舗数が当時横ばい状態であったことを考えると、開発担当者として何らかのあせりもあったのだろうか。また、自営業や会社勤務の経験があった原告らは、熟考すると、自動車運転代行業というものが本部が提示した開業資金だけでなく、継続的にランニング・コストも掛かることに、フランチャイズ契約の正式契約以前に思いが到らなかったのだろうか。判例から実務上いろいろなことを学ぶことができる。
資料出所;判例時報社発行の「判例時報の1987号
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