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判例 21
加盟店のロイヤリティー不払いを理由とするフランチャイズ契約解除が解除権の濫用に当たらないとされたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報1949号より)
平成18年2月21日民47部判決、本訴認容、反訴棄却(控訴) 不正競争行為差止等請求本訴事件、損害賠償等請求反訴事件、東京地裁平17(ワ)14972号・22496号 1.フランチャイズ契約におけるロイヤリティー不払いを理由とする解除が解除権の濫用に当たらないとされた事例
2.フランチャイズ契約解除の標章の使用が不正競争防止法2条1項2号に該当するとされた事例
この判例から学ぶ
1.加盟店の本部に対する債務不履行、とりわけロイヤリティーの不払いで起こるトラブルは最も多く、このトラブルがこじれると、本部の解除権行使につながることが多い。本件の例は、その一つであるが、本部(大手ハンバーガーチェーン)が解除権を行使するに当たっては、権利の濫用にならないように慎重に手順を踏んでいる点が実務上参考になるので紹介した。
2.加盟店側については、売上高規模は大きいものの、利益減少を招いたのは、本部の営業政策ではなく加盟店固有のオペレーションレベルに問題があったからだ、とする裁判所の判断にも興味がある。そして、加盟店が本部に対して支払った営業権対価の一部返還についても、その性質と取り扱いについて裁判所は考え方を示しており、これも実務上参考になるだろう。
3.本件の争点は次の3つに絞られている。一つは、本部の契約解除は、解除権の濫用にあたるかどうか、2番目には本部の営業政策(100円マック政策)は、本部の債務不履行に相当するかどうか、そして最後に営業権の対価の受領が、本件の契約解除により不当利益にあたるかどうかである。
4.まず1番目の本部の解除権の行使であるが、本部は次のような解除手順を踏んでいる。即ち、フランチャイズ契約書には、ロイヤリティー等の未払いについては、無催告の契約解除等厳しい取り決めがあるものの、本部はロイヤリティーの支払いを約する覚書を加盟店と3回に亘って交わし、支払いの猶予期間を与え解除権の行使を留保している。この間、本部は営業停止による顧客への不便に配慮した「調停」の申し立ても行っているが、不成立に終わり両者の間にはもはや信頼関係は破壊されたものとして、裁判所は本部の解除権の行使は、権利の濫用には当たらないと判断した。
5.2番目の本部の営業政策が、加盟店の利益減少を招いたかどうかという点については、この政策は、新規顧客を開拓し客数増加を目指すもので、TC(レジの作動回数をいうもので、来店客数の目安になるもの)は当該加盟店は1.43%の増加でしかないが、他の加盟店は12.1%増加させており、加盟店の利益減少は他の要因(後述)にあるとされ、本部の債務不履行に当たらないとされた。
6.最後の争点は営業権の問題である。この営業権とは、加盟店が契約時に本部へ支払ったもので、フランチャイズ契約の中途解約が行われた場合には、残存期間に応じて本部は加盟店へ返却すべきものであると加盟店は主張し両者は対立した。本件では営業権とは、「得意先又は仕入れ先関係、営業上の秘訣、販売の機会、経営内部組織など多年の営業活動から生じる営業上の価値をいう」とし、本件店舗で一定期間営業を継続していく対価ではないと判断された。本件のフランチャイズ契約の期間は10年で、自動更新でない旨の契約になっていたが、加盟店側は30年間の認識を持っていたようだ。この点もトラブルになりやすいところだが細かい経緯は省略する。
7.加盟店側のオペレーションレベルについては、裁判所も好ましいレベルにあったとは見なしておらず、裁判の進行が本部側に有利に働いたふしがある。オーナー自身が真剣にオペレーションに取り組んでいない、本部の基本方針であるQ・S・C(品質、サービス、清潔)が遵守されていない、顧客からのクレームが多い、財務状況について虚偽の報告を行っていることなどが本部から指摘され、裁判所もこれらをフランチャイズ契約上問題ありとして認めている。
8.加盟店の標章の継続使用については、契約解除が認められた以上、不正競争防止法2条1項2号に該当するものとしてその使用が禁止されることは当然であろう。
9.加盟店の支払い債務の不履行については、契約解除の対象になることは、全ての本部の契約書に共通して記載されている。しかしながら、不履行理由の究明、催告の方法や回数、猶予期間、時には援助策など、本部にとっては実際に解除権を行使するタイミングを計るのは難しい。特に本件のように、営業規模の大きい加盟店は、何とかして閉鎖しないで存続させようとする気持ちが本部に働くものである。
10.加盟店に対する教訓として、日常の経営努力に欠けオペレーションの遂行に問題があると見られることは、トラブルが発生した際には交渉優位に立てなくなることは知っておくべきであろう。
11.さらに、本部の営業政策(100円マック政策)が間違っていたかどうかも争われている。実務の上からも本判例から学ぶ点は実に多い。
資料出所;判例時報社発行の「判例時報の1949号
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