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判例 20
日本に於けるマスター・フランチャイジーを探す間の商標不使用は、登録商標の不使用による取消請求を免れる「正当な理由」になるかどうか争われたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報1922号より)
平成17年12月20日第2部判決、認容(上告) 審決取消請求事件、知的財産高裁平17(行ケ)10095号 本件商標は、指定商標「ピザ」について審判請求登録前3年以内に被告によって使用されていたとの事実を認めることはできず、被告が本件商標を日本において使用していないことについて正当な理由があるということもできず、また、原告による本件審判の請求は権利濫用であるということもできないとされた事例
この判例から学ぶ
1.本事例のあらましは次の通りである。世界第3位の約3、000店舗を有する米国のピザチェーン企業(被告)が、日本でフランチャイズ店舗展開を行うべく商標登録を行った。この商標に対して、京都でチーズケーキ店を営んでいる経営者(原告)が、類似の商標登録を申請し、同じ日に不使用取り消し審判請求を行った。請求の理由は、この米国のピザチェーンの商標は、日本で3年間使用した事実がないとするものである。特許庁は、不使用には「正当な理由」があった、つまり日本においてマスター・フランチャイジーを探すには一定の期間を必要とすることを認め、審判請求不成立の審決を下したが、知的財産高裁は、逆の判断を行い、審決は違法として取り消した。
2.商標法50条1項は、不使用による商標登録の取消しの要件を規定し、2項は、取消請求に係る商標登録の取消しを免れる場合を規定している。本事例では、2項ただし書きにいう「正当な理由」とは何かが争われている。
3.被告(米国のピザチェーン企業)は、商標不使用の理由として次のような理由を挙げ、特許庁は審判請求不成立の審決を行った。
・日本のマスター・フランチャイジー候補企業数社と加盟交渉を継続していた。
・インターネット上や雑誌でもフランチャイジー募集広告を出していた。
・資格・資力がある企業を探し出し契約を締結するのは、困難で一定の期間を必要とする。
・日本におけるフランチャイズ展開に具体的な準備を進めており、「真摯なる使用の意思」があった。
4.これに対して、特許庁が下した審決を違法とした知的財産高裁の判断理由は、次の通りである。
・被告のフランチャイジー募集の広告、雑誌、文書などは、かならずしも日本国内向けとは言えない。英語表記がある。
・一企業内の経営的又は経済的理由による不使用は、「当該商標権者の責めに帰すことのできないやむを得ない事情」とはいえないことはもとより、単に使用の準備がなされており、「真摯なる使用の意思」が認められる場合であっても、「正当な理由」に該当するとはいえない。
・本件商標の使用は、フランチャイズ方式によらなければならないとする前提はない。その他の方法でもピザの販売は可能である。
・マスター・フランチャイジーの資格・資力は望ましい条件であるが、フランチャイズの展開において必須の条件ではない。
・被告は、外国への進出の経験があるので、極めて短期間にフランチャイズ契約の締結は可能であったはずだ。
5.同時に被告は、原告が類似の商標登録出願と本件取消審判の請求を同時に行っているのは、権利の濫用であると反論した。
6.これに対して、下記の通り知的財産高裁は権利の濫用とは言えないとした。
・商標登録出願前に発見された先行登録商標を排除するため、該商標登録出願と同日又はその前後に不使用取消審判を請求することは、商標実務上しばしば採用される手法であり、違法とは言えない。
・原告の商標は、被告が日本においてフランチャイズ店舗の展開を図る以前から、日本国内においてチーズケーキで使用され、チーズケーキに使用する原告の商標として周知に至ったものである。
・原告は、被告の日本進出を不当に阻止する意図はないし、被告の商標にフリーライドする意図もない。
7.フランチャイズ事業の展開においては、商標・サービスマークの登録は、絶対必要とされる条件である。本事例は、海外チェーンの日本進出の例であり、資格・資力を有するマスター・フランチャイジーを見つけ出すことは容易ではないことは理解できるが、これは、一企業内の事情で、「正当な理由」と見なされていない点に注意すべきであろう。我が国の商標法は、商標権者による商標の現実的使用を重く見ており、商標登録した後は、速やかに事業展開に乗り出し使用する必要があることを教えている。
資料出所;判例時報社発行の「判例時報の1922号
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