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判例 16
賃貸借契約で賃料の増減に関する特約の有効性が最高裁まで争われたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報1868号より)
平成16年6月29日 最高裁平15(受)751号三小法廷判決、破棄差戻、1審大阪地裁平13(ワ)2908号、平14・3・19判決、2審大阪高裁平14(ネ)1151号、平15・2・5判決 建物の所有を目的とする土地の賃貸借契約において賃料を減額しない旨の特約が存することにより賃料減額請求権の行使を妨げられることはないとされた事例
この判例から学ぶ
1.この判例はフランチャイズに関するものではない。しかし、フランチャイズ事業においては、店舗・事業所の賃貸借に関する契約は絶えず付いてまわる。その際、将来に向けて賃料の改定に関する特約の解釈をめぐって争うことが多いので、ここでとりあげた。
2.このケースの当事者については、建物所有を目的とする土地の賃借人(複数Xら)は貸しビル業を営む会社で、賃貸人(Y)は不動産業者である。どちらもプロである。
3.両者の間の賃貸借契約には、3年ごとに賃料の改定計算を行なうものとし、この場合、消費者物価指数の変動率を乗じ、公租公課の増減額を加除した額を考慮するとし、消費者物価指数が下降しても賃料を減額することはない旨の「特約」が付されていた。
4.その後賃借人(Xら)は、土地の価格が4分の1程度に下落したことなどに照らすと、現在の賃料は高すぎると主張し、賃料を減額すべきとして賃貸人(Y)へ訴訟を提起した。
5.これに対し原審は、Xらの請求を棄却し、特約は有効であるとした。その理由は、特約は当事者間に生じやすい賃料の改訂をめぐる紛争を事前に回避するためのもので、改定計算も消費者物価指数という客観的な数値を利用している、という内容のものであったことによる。
6.これに対して、Xらは上告し、これが受理された。その結果、最高裁の判決は原判決を破棄し、大阪高等裁判所に差し戻すという内容のものであった。つまり、賃料の改訂に関する特約が存在しても増減額請求権の行使が妨げられることはないとするものであった。
7.ここでの争点を整理してみると次の通りである。借地借家法11条1項は、土地の賃料が、公租公課の増減により、土地の価格の上昇、低下等の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して、不相当となったときは、契約の条件にかかわらず契約当事者は将来に向かって賃料の増減額を請求することができると定めている。借家については、同法32条1項に同趣旨の規定がある(旧法も同じ規定がある)。賃貸借契約は「契約自由の原則」に従って当事者間で自由に締結できるが、借地借家法は「強行法規」である。従って、特約がある場合でも、賃料の増減額請求権の行使が妨げられることはない。これが争点の結論である。
8.「格別真新しい判断を示したものとはいえないが、賃料を減額しない旨の明示的な合意があるときでも賃借人による賃料減額請求権の行使が認められると判示した点において、事例判断としての意義を有すると思われる」(←この「カッコ内」は判例時報1868号の注釈より引用)
9.実務の上では、賃料の改定は貸す方も借りる方も頭が痛い問題である。参考になればと思いここでとりあげた。尚、「本件の解釈はサブリースにおいても適用されるとする最高裁の判例がある」(←この「カッコ内」は判例時報1868号の注釈より引用)。サブリースとは、不動産業者が一棟の物件を丸ごと一括で借り上げ転貸する仕組みを言う。
資料出所;判例時報社発行の「判例時報の1868号
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