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判例 14
本部が加盟店にロイヤリティー等の不払い請求訴訟を起こし、加盟店は本部に契約時の詐欺による不法行為に対して損害賠償請求の反訴を起こしたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報1484号より)
平成5年3月30日 京都地裁平3(ワ)1653号(本訴)、平3(ワ)2166号(反訴) フランチャイズ契約について、本部と加盟店が相互になした損害賠償が共に排斥された事例
この判例から学ぶ
1.塾のフランチャイズチェーンを展開している本部が、契約後約1年半後に塾をやめた加盟店に対して不払い金の請求訴訟を起こした。加盟店の本部に対する不払いの内容は、契約によると次の通りである。@入塾金の50%、A毎月の月謝の20%のロイヤリティー、B講師への給与、C講師への交通費等である。同時に本部は損害賠償請求も行っている。
2.これに対して被告である加盟店は、フランチャイズ契約締結に際しては、本部に不法行為があり、契約は取り消されるべきものとし、請求を受けた金員は支払う義務はなく、逆に契約金、教室開設工事費用、慰謝料、弁護士費用等の支払い請求訴訟を本部に起こし反訴した。
3.加盟店が主張する本部の不法行為とは次の様な内容である。
(1)本部は生徒を募集し、塾を運営管理する意志も能力もなく、加盟店から開設資金を取得することのみを目的とするもので、生徒は責任をもって集めるので事業は必ず成功するかのような虚偽甘言をもって加盟店を勧誘した。
(2)加盟については、当初は断わっていたが、執拗に勧誘を受けたので本部を信用し、錯誤に陥り契約をせざるを得なかった。
(3)開業してみると、本部は生徒勧誘活動や塾経営活動等をほとんど行なわず生徒は集まらなかったので、当初の約束通り上記請求内容1.の@、Aはほとんど請求せず、BとCは本部負担とし、その支払いを本部は免除したはずである。
4.これに対し裁判所は、本部の行為が不法行為になるには、契約に定められた義務を履行する意志がなくその見込みもなかったことが前提となるとして、本部の行為はそうとは言えない、とその理由を次のように述べている。
(1)本部は開塾時には,教員資格を有する者を専任講師として派遣したり、新聞の折込広告をしたほか、近隣にはチラシを投函している。
(2)契約書には新聞の折込広告やチラシによる宣伝を行うことの記載はあっても、生徒確保の保証や利益確保に関する記載はない。
(3)加盟店は他の塾を見学したいと申し出て、実際に見学してオーナーにも会っている。
(4)本部はさまざまな提案書や調査書を加盟店に示して、熟考する期間を与えているので、加盟店は熟考して契約する余裕がなかった、とは言えない。
(5)加盟店は小、中、高の3コースの契約を結び、開設資金を本部に支払ったが、高校生が集まらなかったので、本部は開設資金の一部を加盟店に返している。
(6)加盟店のオーナーは会社の代表者として自ら他に事業活動を行っており、塾の経営についてはそれなりに採算を考え自らの判断に基づいて契約をしたと思われる面は否定できない。
(7)加盟店は本部から未払い金の支払いに関する内容証明付き請求を受けたあと、本部と完全に対立するまでの約1年半もの間、塾の経営を続けており、それなりの計算の下で塾の経営を続けていたものと解される。
(8)従って、以上を勘案するに本部の不法行為が成立するとまではいうことは出来ず、本部の不法行為に基づく損害賠償請求には理由がないとした。
5.一方、本部の加盟店に対する不払い金の請求と損害賠償金の支払い請求についても、裁判所は権利の濫用もしくは信義側違反を理由に許されものではないとしてこれも排斥した。以下は排斥の理由である。
(1)FC契約締結に際して本部は、加盟店に客観的な判断材料となる正確な情報を提供したという事実を、具体的に立証していない。
(2)加盟店の未払い金については、1年半の長期に亘りこれを強く請求したとは思えない。
(3)加盟店が投資した資金の回収は、半額すらも回収できていないことが認められる。
(4)以上を勘案すると、本部が加盟店に未払い金の支払いを求めるのは、権利の濫用もしくは信義側違反として許されるものではない、とした。
6.塾経営の難しさは、必要数の生徒の募集にある。この点で加盟店には認識不足と努力不足があったようだ。本部にもこの加盟店の市場性の読みに甘さがあったのではないか。
7.加盟店の未払い金の請求についても、本部側に毅然たる態度がなく、生徒数が集まらなかったが故に請求の矛先が鈍ったようだ。責任の所在を明確にし、入塾金の50%、毎月の月謝の20%のロイヤリティー、講師への給与、講師への交通費等の支払いを、生徒が集まらないことによる経営不振で一部又は一定期間免除するなら、文書で双方が明確に確認しておくべきであったろう。1年半も請求せずにある日突然に内容証明書で支払い請求するのは、本部の権利濫用と取られても仕方がないであろう。
資料出所;判例時報社発行の「判例時報の1484号
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