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判例 13
本部の契約締結上の保護義務違反が成立するとされたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報1572号より)
平成7年7月20日 浦和地裁川越支部昭63(ワ)535号(甲事件)、543号(乙事件)、平元(ワ)58号(丙事件) フランチャイズ形式の販売システムを運営する者(本社)に契約締結上の保護義務違反の不法行為が成立するとされた事例
この判例から学ぶ
1.本部はヨーグルト・クロレラ・果実酢等の商品をフランチャイズ方式で販売するため、本社→流通センター(販社の注文に応じて商品を販社へ販売し発送する)→販社(地域別に商品の第二次卸問屋又は小売業を行う)→営業所(消費者への販売)→販売要員(コンサーヴァと呼ぶ販売員)→消費者への流通組織をつくり販社を一般公募した。
2.本件二人が販社に応募し加盟店になったが、約1年経過後、当初予定していた収益が上げられず、本部は商品提供を打ち切った。そして本部はこの加盟店の二人に商品販売代金、車両のリース代金、販売要員の人件費の立替代金の合計を請求した。(本件甲、乙事件)
3.ところが、加盟店側も販社契約の締結に際しては、本部側に保護義務違反の過失があるとして収支計算に基づく損害、逸失利益、慰謝料の賠償を請求した。(本件丙事件)
4.これらの事件がまとめて審理されたのが本件である。裁判所は、上記(2)にある本部の加盟店への請求を認めたが、一方では本部の契約締結上の保護義務違反もあったことを認め、(3)の加盟店の収支計算に基づく損害請求の部分についてはそれを容認した。
5.慰謝料の請求については、次の理由により裁判所はその請求を不当とした。即ち、加盟店は財産上の損害賠償を求めているのであって、被った損害はそれで賄われるものであるから、それ以外に精神的な苦痛に対して賠償を求めるのは不当である。さらに、営業を軌道に乗せるために、不眠不休の努力をした事実を証明する証拠はない、とした。
6.保護義務違反の内容については、次のように指摘している。事前に的確な市場調査等をした上で科学的裏付けに基づき、本件システムの内容を正確かつ十分に開示して、本件システムによる販社の営業収支等を説明すべきであったのに、そのような市場調査もしないで、加盟店に実現することが不可能な顧客化達成数、予想売上高、予想収益額、予想損益分岐点を提示し、あたかもそれが努力次第で容易に実現できる数値であるかのように説明して、販社契約を結ぶように勧誘したとしている。
7.本件の契約がフランチャイズ契約か、特約店・代理店契約だったかかは、断定できないが、契約がどうであっても共通して言えるのは、加盟店にとって顧客の新規開拓が最も大変であるということである。本件では訪問販売を担当する販売要員は、本社(本部)から派遣されその人件費も派遣する側の負担となっている。しかしながら、派遣の条件については、双方の言い分は曖昧である。全く商売の経験のない素人でも加盟店になれるというのも加盟店勧誘の際の「売り」であったようだ。さらに、本社(本部)は流通センターの設置を行っていない。これらの事実を考えると、初めから事業の基盤のもろさを感じさせる。
8.本件では被告になった(丙事件では原告)二人の加盟店の一方に二割の過失相殺が行われている。契約を結ぶに当たっては十分な準備をしたとは言えず、開業後も適切な策を講じなかった。そのために営業成績の低下を招くに至った。これが過失相殺の理由である。どうも本社(本部)と加盟店(販社)の両方共に事業に取り組む甘さが感じられる。よって他山の石としたい。
資料出所;判例時報社発行の「判例時報の1572号
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