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判例 10
ショッピングセンター(SC)に入店しているテナントは同SCの増床・リニューアル計画に協力すべきであるとされたケース
実務を担当する者が判例から何を学ぶかを解説しています。
【判例】
判決日 裁判所 判例内容(判例時報1625号より)
1審平成8年4月16日
2審平成9年6月25日
1審名古屋地裁平6(ワ)1883号
2審名古屋高裁平8(ネ)351号(甲事件)・370号(乙事件)1029号
量販店(スーパー)が直営部門を核としてテナントを入店させてショッピングセンターとして一体化してスケールメリットを追求している場合と売り場のリニューアルとレイアウトの変更権
この判例から学ぶ
1.この判例は、フランチャイズに関係するものではないが、近年、フランチャイズ業界では、ショッピングセンター(以下SCとする)にテナント出店するチェーンが多く、本部と加盟店の両方に参考になるのでとり上げた。
2.ディベロッパーが計画提案したリニューアル計画に、服飾・雑貨のテナント1店(店舗面積66平米)のみが反対し、法外な契約条件を逆提案し、期限が到来しても再契約の意志を鮮明にしなかったので、ディベロッパーは賃貸借契約を解除し、新テナントの入居を決めた。これに対して当該テナントは、ディベロッパーに対しては契約解除を不法行為(乙事件)とし、新テナントにたいしては不法占拠(甲事件)として損害賠償請求の裁判を起こした。これが1審である。
3.上記の1審は原告の当該テナントが勝訴したが、被告であるディベロッパー側が控訴した2審では、当該テナントの店舗残置設備をディベロッパーが無断で撤去した行為のみ損害賠償の責を負う以外は、逆にディベロッパー側が勝訴した。
.ここには学ぶべき重要な点が2つある。一つは借家法の問題であり、二つにはSCに入店している量販店とテナントが、一体となってディベロッパーの政策の下で最適マーケティングを遂行する場合のテナントの協力度が問われた、という問題である。
5.店舗の賃貸借契約には独立店舗から、デパートのケース貸しのそれまでいろいろあり、後者については借家法の適用がないとされるのが従前の裁判例の立場である。しかしながら、本判決がいうように、SCのような場合は独立店舗とケース貸しの中間に位置する契約形態であり、契約条項の解釈や借家法の適用については、具体的な状況に応じた対応が要請されるとした。判決にはこの考え方が根底にある。
6.当該テナントが締結した店舗賃貸借契約(本件契約・昭和53年に締結されており、新借家法適用以前)の第19条にはこうある。店舗の位置、面積などが建物の設計・店舗レイアウト、法規制などの関係上変更の必要が生じたときは、ディベロッパー側は位置、面積、、賃借料、共益費、建設協力預託金、敷金などの額を改定するものとし、テナントはこれに異議を述べることなく、変更によって生じた内装・什器の移転・新設などの費用を負担し、休業補償などの名目のいかんを問わず一切の請求をしない、とされている。そしてこの第19条は、上記(4)の考え方に従い、裁判所は借家法6条または7条の趣旨に反するものではないとした。
7.ちなみに、借家法6条は〔借家契約に関する特約の効力〕に関する規定で、賃借人に不利な特約は存在しないものとして扱うことを意味しており、同7条は〔借賃の増額または減額を請求する権利〕に関する規定で、家主は借賃の増額または減額を請求することができるとするものである。つまり前述の(4)の考え方に従うと、本件契約の第19条はテナントに不利な特約ではなく、ディベロッパーが提案する家賃についても、テナントが不服とするならば、裁判確定まで自己が正当と認める金額を支払い続けるという手段があることを示唆している。
8.そして裁判所は、ディベロッパーが本件契約を解約したのは止むを得ない状況にあったと判断した。当該テナント負担の家賃は、初回更新時は勿論、平成6年までの16年間変更に応じることなく据え置きのままであること、逆に当該テナントは、リニューアルに伴い支払う賃料は従前の支払い実績の3分の1を下回る非常識な条件を逆提案していること、そしてリニューアルに必要な期限になってもテナントからは明確な回答が得られなかった、としてディベロッパーが両者の間には信頼関係がなくなったことを理由に法定解約に踏み切ったのは、不法行為には当たらないとした。
9.もう一つの問題であるテナントの協力度が問われた問題については、裁判所は以下のように述べている。SCは核になる量販店の直営部門とテナント部門が一体化して、対外的には一個の営業主体が経営する店舗のような形態を創り出して「スケールメリット」を追求するものである。テナントはディベロッパーが定める内装工事基準書を遵守して、「全店舗の調和・品位及び美観を保つ」義務があり、改装についてはディベロッパーの指示監督に従う義務を負う。テナントの地位は「百貨店のケース貸し」と「独立店舗の賃貸借」との中間的法性格を有するものと解される上、一個の営業体としてのSCの一体性の維持と、SC全体の集客力の維持という共通の利益のために、一般の独立店舗の賃貸借には見られないような各種の制約に合意したものということができる。いずれも実務的に当然なことであり、テナントもSC全体の発展に協力すべきであるとするのは頷ける。
10.最後に、ディベロッパーは、当該テナントの入退店の返事がなくタイムリミットが来たので店舗の残置物を同意を得ることなく撤去したことは、不法行為を構成すると判断し、ディベロッパー側に損害賠償責任があるとした。その内容は、看板、間仕切り、ボーダー等で請求通り金額にして123万5,000円の支払いを命じた。これも、残置物の取り扱いには注意すべきである、という教訓になるので付け加えておく。
資料出所;判例時報社発行の「判例時報の1625号
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